うごメモジェネレイションズ 第一話
「過去とは今へと、これから先の未来へと繋がっていく・・・」
過去の積み重ねが明日を作り出し、先へ先へ続いていく。この物語の主人公もまたそういった過去から繋がった男である・・・。
うごメモジェネレイションズ #1 魔獣の頭
白い砂漠が広がっている広大な世界、どこまでもどこまでも砂漠の続く世界に男はいた。
彼の名は「輪道 皇太郎(りんどう おうたろう)」、通称「リンドウ」。21歳。身長195cm。魔獣「グリフォン」の頭を持ち、体は毛皮で覆われている。この果てしない砂漠をかれこれ1ヶ月近く旅している。
リンドウ「・・・朝か」
リンドウは重い腰を上げ地平線を見る。真っ赤な鷲の目で。すると彼を後ろから誰かが呼びかける。
ライル「リンドウ先生~!朝食の準備出来ましたよ~!!」
リンドウ「あぁ、ありがとう。すぐ行く・・・」
リンドウはその少年の呼びかけに対して回答する。少年の名は「ライル」。髪の毛は薄い金髪。シャツにサスペンダー付きズボンを着た12歳の少年である。彼の頭にはネコの耳が生え、そして黒いリボンの付いた尻尾を持っている。
リンドウ「今日はどんなメニューなんだライル?」
ライル「今日は昨日砂漠の中で埋まってた冷蔵庫の中で見つけた食パンと卵です!」
リンドウ「そうか、しかし不思議なものだな・・・何で砂漠の砂の中に綺麗なパンや卵が残ってるんだ?綺麗なままで」
ライル「まぁいいじゃないですか美味しく食べれればそれで!ハハハ!!」
リンドウ「・・・」
ライル「おーい、リヨ。先生連れてきたぞ~!」
彼の目の先には少し形が歪んだフライパンで卵3個を焼くバニーガール姿の少女がいた。
彼女の名は「リヨ」。ライルの双子の妹である。黒髪で物静かな性格。ライルとは顔以外は全然似ていない。
リンドウ「ありがとうリヨ。食事を作ってくれて。さぁ皆座って食事にしよう。」
リヨ「・・・はい」
リヨは少し照れながら微笑する。
それから3人はチェックのマットの上に皿に乗った目玉焼きパンと金属製のガタガタのカップを用意して朝食をとる。
リンドウ「久しぶりだな・・・こんなに豪華な朝食は・・・この間なんてパンの耳と人参の切れ端だけだったのに」
リヨ「100%グレープフルーツジュースもありますよ」
リヨはそう言ってリンドウのカップにジュースを注ぐ。
ライル「ところで先生。今日はこんな良い食事なのにフォークとナイフがこんなんだったら何かテンション下がっちゃいませんか~?」
そう言いながらライルは先が何本か折れているフォークと、刃がボロボロのナイフをてにとってリンドウに見せる。
リンドウ「・・・お前は何が言いたいんだ?」
ライル「いえね・・・リンドウ先生の力だったら今日の食事にふさわしい銀のフォークとナイフを出せるんじゃないかと思いましてねェ~!」
リンドウ「・・・あのな、私の力はあくまで戦うための力なんだ。私は金物屋じゃないんだぞ。」
リヨ「そうよライル自重しなさいよ!バカ!!」
ライル「うるさいな!いいじゃないかちょっとくらい。ね?先生お願いだよ~!ねッねッねッ!!」
リンドウ「あああッ!分かった、分かったからそんな目で私を見るな!!」
押しの強いライルにリンドウは根負けする。そして彼は右手を前に掲げ、手に力を込める。
「チュドン!!!」
・・・という音と共にリンドウの手から3枚の紙切れが出てくる。そしてその紙切れはあっという間にキラキラの銀食器に変貌する。
ライル「やった!先生ありがとう!!」
リンドウ「・・・今日は私は後片付けはしないからな・・・」
リンドウは少し不機嫌そうな顔で呟く。それからしばらくして、再び遠い地平線の方を眺める。
リヨ「今日で30日ですね・・・私たちの・・・リンドウ先生のいた世界が滅びて、この砂漠にやって来てから・・・」
リンドウ「そうだな・・・」
リヨ「・・・・・」
リンドウ「・・・寂しいのかリヨ?」
リヨ「いいえ、私は大丈夫。先生は?」
リンドウ「・・・正直なことを言うと・・・やはり寂しいな・・・」
ライル「先生・・・」
リヨ「・・・・・・」
1ヶ月前の5月31日・・・。すべての並行世界で「大異変」が起き、多くの世界が滅びた。しかしリンドウ、ライル、リヨの3人は崩壊した世界から生き延び、気づいたらこの果てしない砂漠にいた。そして生き延びた彼等は魂と融合した力を「手に入れてしまった」のである・・・
それからはずっとこの砂漠を旅している。砂漠はどこまでも続き他に何もない。しかし気候は穏やかで、たまに雨が降ったりもする。しかし植物は一切育たない。砂は砂利のようなザラザラしたような感じではなく、サラサラして星屑のようであった。そして砂漠の砂の中には今リンドウ達が食べているパンや卵、ジュースなどの食料が冷蔵庫の中に入って埋まっていたり、そのまま砂の中に埋まっていたりする。なぜだか分からないが砂の中に埋まっているものは新鮮でちゃんと食べれる。砂が付いても手で払うだけで綺麗に取れてしまう。そんなものを食べながらリンドウ達はここで1ヶ月旅を続けている・・・
リンドウ「あの崩壊のせいで私は家族を失った・・・。そして人の姿を失い、この砂漠に飛ばされた・・・」
リヨ「先生・・・」
ライル「・・・ねぇ先生!!」
と突然ライルが二人の話に割って入ってくる。
ライル「先生前『朝にはコーヒーが飲みたい』って言ってましたよね?」
リンドウ「・・・?」
ライル「食事の片付けが終わったら砂漠の中でコーヒーの粉を探しませんか?明日の朝食用に!」
リヨ「ライル・・・?」
リンドウ「・・・そうだな。いいかもしれんな。」
リヨ「えっ?」
リンドウ「お前のその話を聞いたら飲みたくなった。探しに行こうじゃないか、コーヒーを」
ライル「先生・・・!」
ライル「あっ、でも絶対に『粉コーヒー』でないと。コーヒー豆だったらすり潰す機械がないと飲めないから」
リンドウ「心配ない。私の力ならすり潰して粉々にするくらい軽いものだ」
ライル「さっすが先生だ!何でもできちゃうんだから!」
ライルの機転のきいた行動でリンドウは少し元気になったようにリヨは見えた。
リンドウ「お前も手伝ってくれるかリヨ?」
リヨ「・・・!!はい、喜んで!!!」
顔がほぐれたリンドウの顔を見てリヨは笑顔になる。
がしかし、三人がそんな話をしているその時、
ドッゴーン!!!
大きな爆発音が響き渡る。いきなりの事態にライルは動揺する。リヨは冷静にあたりを見回し、煙の出ている方角を見る。
リンドウ「・・・また奴らか。ライル、リヨ行くぞ!!」
リンドウ達は爆発の方向へと向かう。
向かった先では、ヘルメット頭で体がメモ帳の種族「メモトロン」達が騒ぎまくっていた。
メモトロンはこの砂漠の中でリンドウら以外にいる者達である。性格は粗暴で、食料を喰い荒らしまわったり、砂漠の中に残っている建物の瓦礫など爆破したりしている、リンドウ曰く「害虫」である。砂漠を旅するリンドウ達にも何度かちょっかいを出してくるが、基本的にリンドウらより能力は低いため、あっという間に撃退される。しかし何度倒されてもどこかから湧いて出てくる不思議な種族である。彼等の体は負の因子「バグ」と中核の「ウゴメダル」で作られている。
リヨ「全部で16匹いるわ・・・」
ライル「オレ達には気付いてないみたいだね・・・こりゃ逃げたほうがいいね・・・」
リンドウ「・・・待て!あれを・・・」
リンドウは何かを見つけ指差す。その先には他のメモトロンと比べて大柄なメモトロンが少女2人を仲間とともに取り囲んでいた。
リンドウ「あのメモトロンと少女2人を見てみろ・・・」
ライル「・・・ッ!大きい奴は体の中にコアの他にもう一枚メダルを持ってる!!」
リヨ「女の子2人はメダルを持ってない・・・生身の人間だわ・・・」
リンドウ達は体内にあるウゴメダルを見ることができる通称「魔神の目」という力を持っている。
リンドウ「生身というのは少し間違っているがな・・・あの2人は人の姿をしているが精神の波長が人のものとは違う・・・」
リンドウ「リヨ、デカブツとあの子らがなにか話している。お前の力で聴けないか?周りの音が邪魔で聞こえん」
リヨ「分かりました。私の手を掴んでください」
そう言ってリヨは耳を澄ます。リンドウはリヨの手を掴む。リヨは人間を超えた聴覚を持っている。100km離れた先の音も鮮明に聴くことができる。そして彼女の体に触れることで彼女の聴こえる音を「共有」できる。
リヨの聴いている音がリンドウの頭のなかへと流れこんでいく・・・
メモトロンボス「ゲッヘッヘ、嬢ちゃん達もう逃げられないぜ。大人しく堪忍しな」
メモトロン①「そんな羽じゃもう逃げられないぜ~!」
リヨウキヤク「すまないフラッシュ、私のせいで羽が・・・」
フラッシュ「キヤクちゃん・・・いいんだ私は・・・」
メモトロン達に囲まれている少女達。
一人は「リヨウキヤク」。
赤みがかった茶髪にツインテールの髪の毛、黒いつば付き帽子をかぶった少女である。
もう一人の方は、「フラッシュ」。
金髪のポニーテールで、片目が隠れている。背中にはレーザーのような羽が生えているが右の方の羽がボロボロになっている。
メモトロン②「大人しく捕まって『ファクトリー』に戻れば手当してやるよ。あぁ?」
メモトロン③「『パルのピース』が体に埋まってるんだ。どこへ行っても逃げられねぇし能力だって使えねんだ!」
リンドウ「・・・ファクトリー?パルのピース?」
フラッシュ「ふざけるな!お前たちのいうことなど聞くものか!!私はどうなってもいい、でもキヤクちゃんやファクトリーに捕まった人たちは助けだす!」
フラッシュは剣を出し、メモトロン達の前に立ちふさがる。
フラッシュ「キヤクちゃん、早くここから逃げろ!この先でジャックが待っている。ジャックに合流して、エースにこのことを伝えるんだ!」
リヨ「ジャック・・・エース・・・?仲間の名前・・・?」
メモトロンボス「そんなことさせるか!喰らえファイヤーウェーブ!!」
ボシュゥゥン!!!
フラッシュ「がっ・・・!!!」
キヤク「フラッシュ!!!」
フラッシュはメモトロン達から一斉攻撃を食らってしまう。
ライル「ああっ!マズイよ、あんな状態であの人数に勝てるわけがないよ!リンドウ先生何聞いてんのさ!ちょっと・・・」
ライルの呼びかけにリンドウはリヨの手を離し、答える。
リンドウ「ライル、あいつらの会話を要約して言うと、この砂漠には私達以外にもあの子たちのような生存者がいる。そしてあの子たちは生存者がどこにいるのか知っている!!!」
ライル「・・・!!!」
リヨ「と、いうことは・・・やることは・・・一つですね・・・」
リンドウ「あぁ・・・害虫駆除だ!!!」
リンドウの声とともに3人は飛び出し、メモトロン達の前に颯爽と現れる。
フラッシュ「!?」
メモトロン「な、何だお前らは・・・!?」
キヤク「ほわぁぁ!今度は何なんだ?キヤクは死ぬのか?うわあああああ!!!」
リヨ「もう、落ち着きなさいよ!私たちは味方よ!!」
フラッシュ「あなた達は・・・一体・・・?」
ライル「心配するなよ、リンドウ先生と俺らが来たからにはもう安心だからさ!」
メモトロン「ハッ・・・!」
メモトロンの一人がリンドウの顔を見て慄く。
メモトロン①「かっ・・・『片羽グリフォン』だ・・・!」
メモトロン②「何っ!?」
メモトロン③「まさか・・・あいつが・・・?」
リンドウ「私のコトを知っているとは・・・この辺りでは随分有名になったようだな・・・私のことも・・・私を生かしたコイツの事も・・・」
リンドウの着物が少しはだける。彼の胸元にはグリフォンを模したエンブレムが浮かんでいた。
フラッシュ「あれは・・・!!」
リンドウ「武具創成!」
その言葉とともにリンドウの手から紙切れが出てくる。そしてそれは光り輝くリングとなってリンドウの腕に付く。
リンドウ「グリフォンリング!!!」
リンドウ「お前らに道はない・・・ここが終着点だ!」
次回に続く。。。
<Guest>
リヨウキヤク ©サメコ
フラッシュ ©あたる
次回の更新はうごメモ3D配信後を予定しています。